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事例紹介:ランニング時の腰の疲労

フェルデンクライスでは学びを通して基本的な体の運動機能を向上させる事ができます。つまり、日常生活や人生のあらゆることに関連してその土台となる動きを改善するので、高齢者からアスリートまで幅広いニーズに応えることができます。今回は僕自身が体験したことを例にフェルデンクライスのレッスンがスポーツやパフォーマンスに与える影響についてご紹介したいと思います。

 

つい最近まで長時間のランニングの後に腰の辺りに強い疲労感を感じる事があったのですが、先日のランの後は自分でも驚くぐらいそれが軽減していました。いつも同じコースで20km少々を1時間45〜50分くらい掛けて走っているのですが、以前は走っている最中はあまり気にならないのに終わってから休もうとしゃがんだ時に腰に疲労感を感じて"ゔぅっ"と一瞬固まってしまうような具合いでした。

 

そんな中、先日の川崎でのフェルデンクライスのプラクティショナー養成コース(お手伝いとして参加)でAkouoの工藤洋子さんからFI(個人レッスン)を受ける機会があって、この問題について関連するような内容のレッスンを受ける事ができました。内容的にはそのほとんどが脚を持ち上げては少し動かして下ろすという地味な動きの繰り返しで、人によっては退屈しそうな動きの連続でしたが、僕にはとても面白く感じました。

  

仰向けで人に脚を持ち上げられた時に背中側のどこに寄りかかるかというシンプルなことをテーマに(あくまで受け手の僕の感想です)、足首や足の指などとの関係性、繋がりを様々に絡めながらのレッスンはとても緻密で自分自身の体を繊細に感じ取る事ができて、レッスン後には頭の位置や重心の取り方が変わっていました。

 

養成コースでは何がどうしてそうなるのかという事はあまり教わらないのですが、自分自身の体を通して感じた感覚は今度教える立場になった時に非常に役に立つと言われて、在籍中にはたくさんのATM(グループレッスン)やFIを受ける機会がカリキュラムに組み込まれています。今回僕の受けたレッスンの経験も今後みなさんに還元していければと思います。

 

で、実はFIを受けた後は天候不良だったり旅行などのスケジュールだったりでしばらく走れなかったのですが、先日走った時は期間をおいてからのランニングという事もあり、あまり自分を追い込まずに観察するようなつもりで走ったところ、明らかに軸を以前よりも意識しやすくなっていて、頭の位置、バランスの取り方、腰部の反り具合、腕の振り方、呼吸や手足の連動のタイミングなど、、、フォームが随分と変わったように感じました。ランの後も腰のあたりの辛さがなく、素直に腰を下ろせました。

 

別にこれが正しいフォームだという事を誰かに教わったわけでもないし、休んでいる間にランニングの参考書のようなものを読んだわけでもありません。楽に走ろうとした結果、自然とそうなったと言う感じ。これぞフェルデンクライス・マジック!!(いや、タネも仕掛けもない人の本来の学びです)

 

フェルデンクライスのプラクティショナーがクライアントの抱えている様々な問題に関して、全て専門的な知識や経験を持っているわけではありません。にも関わらず、対応ができるのは、前述した通りこれがセラピーではなく学習の手助けだからなのです。脳の中で様々な情報を繋いでネットワークを構築し、それを駆使して具体的な場面でより最適な動きを選択していく能力はクライアント本人にもともと備わっています。プラクティショナーが行うのはその学習がより良く行われる為の環境づくりと言えます。

 

プラクティショナー養成コースでは4年間かけて実際にその学習を体験する事で、学びの本質とそれに関わる様々な要素について学び、たくさんの動きの経験の積み重ねとクライアントの状態を繊細に感じとるためのトレーニングなどを行なっていきます。もちろん人にもよるかも知れませんが、資格取得後もその学びと研鑽は続いていきます。

 

ランニングに限らずスポーツやダンス、楽器演奏などの動きに問題を抱えている方、全体的なパフォーマンスをあげたい方は是非一度フェルデンクライス・メソッドのレッスンを受けてみてください。きっと驚くような体験が待っていると思います。

 

それから、先日港南台で僕が教えたATMレッスンの内容も今回の腰の問題と関連していると思いますので、また別の記事で書こうと思います。

 

フェルデンクライス・メソッド "Circles"

IFF認定 プラクティショナー 戸田 光 

ランニングの画像